日本政策金融公庫の新創業融資制度の実態

日本政策金融公庫の新創業融資制度は無担保・無保証

皆さまが事業資金を調達しようとする際、まずはどのようにアクションを起こせば良いと思いますか?

ネットを通じて本書に触れていただきました皆さまの多くは、ネットから得た情報をもとに日本政策金融公庫のホームページに目を通されることかと思います。

なかでも新創業融資制度の詳細に注目しているかもしれません。

確かに、“無担保”、“無保証人”と魅力的な言葉が並んでいますよね。しかも、「代表者個人には責任が及ばないものとなっております」との文言(2016年10月現在の日本政策金融公庫ホームページ:新創業融資制度より)

なんとなく、チャレンジする人には積極的な貸し出しを行っている印象を受けます。

でも実際は・・?

県や市などが絡む保証協会付けの制度融資と何も変わりません

むしろ、設立してから間もない法人に対してはこれより厳しいかもしれません。

日本政策金融公庫は新設法人の審査が厳しい

法人である場合、借入名義は法人です。保証人を要する場合には、通常、保証人は法人の代表取締役となります。

上記のように“保証人不要”とした場合、法人だと借入名義人である法人名義でのみの借入となります。

万が一、業績が思うようにいかずに不本意な方向に転がって事実上の倒産となった場合、日本政策金融公庫はこれだと回収不能の事態に陥るわけです。

法人には支払い能力がない・・かといって、保証人がいないから請求できる先がない、ということになります。

日本政策金融公庫は政府が出資している金融機関であるため、言い換えれば“税金を使って融資する”わけです。

ずさんな融資によって日本政策金融公庫の業績が傾けば、いわゆる大人の事情で各方面が困ってしまいます。

よって、そうならないように政策金融公庫は保険をかけなければなりません。つまり、保証人の設定です。

日本政策金融公庫の無保証人との矛盾

これが政府系金融機関ならではの矛盾かもしれません。

上記のように法人相手なら取っぱぐれを起こす可能性もあります。でも、個人事業主だったら?

屋号を構えていようとも、借入名義人は個人名義に他なりません。

だから、保証人を設定しなくても、万が一の場合には代表者個人に対して債務返済を迫ることができるわけです。

別に担保など従前に取っていなくとも構いません。

場合によっては法的措置によって個人資産による弁済を迫ればいいだけのことです。

それを避けるために個人資産の移転などを行っていても、それはそれで詐害行為等の刑事罰を含めた問題に発展しかねません。

資産隠し? 詐害行為の立証は困難なもの
債務者がおこなったであろう資産隠しを推測することは簡単ですが、その立証についてはとても困難なものです。マネートラブルが生じたときから回収実現までいたちごっこは続きます。

要は、無保証人と掲げていながら、しっかりと保険はかけているということです。

以上より、新設法人には厳しく、個人事業主など後々に個人追及ができる状況であれば、無担保・無保証人を提唱し、チャレンジ精神を尊重するかのような文言を唱えているのが実態だと思います。

資金調達コンサルタントが語る国民政策金融公庫

ある時、資金調達コンサルタントのK氏は創業して6カ月の新設法人の事業資金調達を日本政策金融公庫から得るためのサポートを行いました。

結果は1円も融資を受けられませんでした。一方で、他所より希望額の調達に成功しています。

当該法人は自己資金200万円で設立したばかりの会社。創業6ヶ月目といえば、創業費を含めあれこれと資金を費やしてきた時期に他ならず、自己資金は半減した状況にありました。

政策金融公庫担当者の口からは「生活費も稼げていないのに」とのドライなお言葉。

しかし、考えてもみてください。

創業費だけで30万円近くは飛んでしまい、創業してからの苦しい時期を広告宣伝費含め毎月10万円ほどの赤字だけで済ませてきているわけです。

その時点での借入額はゼロ。

法人の代表取締役の個人信用情報に問題があれば審査結果に納得できますが、代表取締役は借金ゼロであり、税金滞納もなし。本人名義の資産も乏しいところはありましたが、むしろ裕福な家系にあったので、もし私が銀行の融資担当者なら間違いなく実行を決定したことでしょう。

ちなみに融資希望額は500万円でした。

平均700万円前後と言われる国民政策金融公庫の融資単価に比べれば、7割程度です。

断られた理由の本質は「Web事業は数字が読めないから」とのこと。

更に食い下がったところ、「インターネット関連サービスのデータ自体が不足しており、融資のご希望には1円たりともお応えできない」とのことでした。

こう言われたからには、別の金融機関から借入を起こさねばなりません。

結果、国民政策金融公庫からの断りから1カ月もしないうちに、他所より融資希望額相当の借入が実現しました

思い起こせば、なかば言いがかりをつけて断ろうというところだったのかもしれません。

なぜなら事業計画書も試算表も同一のものを提出していたからです。

結局、建前は国策に沿った内容を提唱しながら、中身は何も変わっていないと評価できるでしょう。

それでも国民政策金融公庫が根強い人気を誇るのは

ネット上で同行は借入候補として、まるでナンバー1人気のように見受けられます。

これは結局、融資成功した場合のメリットが大きい、すなわち“万が一の場合に個人が責任を全く負う必要がない”とのメリットが実態と乖離して取り上げられ、検索ボリュームがあることからSEO目的でいろいろなホームページが取り上げているためでしょう。

でも、決して借りやすいわけではありません

創業当初なら金利もそこまで考えずとも、同様のものはいくらでもあります。

むしろ創業当初に重視すべきは金利負担よりも売上であり、利益であるのですから。

自らが責任を負うことなく、実体験もないため建前と本音の実際のところも判別できず、ネット上に“日本政策金融公庫から資金調達を!”という風潮には疑問ばかりを感じているのが正直なところです。

日本政策金融公庫から借りるにはどうすればいい?

個人事業主であれば、案外すんなりと行くこともあります。理由は上記した通り、個人名義での借入となるので、万が一の場合に同行が取っぱぐれないためです。

法人の創業融資関連であれば。直近までの収支状況が黒字であることが最低条件でしょうね。担当者が「ここからは取っぱぐれはないだろう」と確信を持てる事業経過を経ている状況であれば、問題はないと思います。

しかし、微妙な赤字続きの新設法人であれば・・Noの結論が出れば、すぐに他の調達手段に出られるよう準備を進めておきましょう。

チャレンジ精神あふれる起業家への積極的な融資を行うはずの制度なのに、自己資金で法人設立運営を継続して微妙にうまくいっていないだけで融資を断る一方、個人事業主に対してはそれ以上の対応をしているわけです

言っても仕方のないことかもしれませんが、政府系金融機関ならではの対応であると受け止める以外にはありません。

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