財産開示請求を利用して債務者の資産を把握

財産開示請求による効果は・・

なかなか支払いを実行しない債務者を相手にしていれば、債権者はどうにか取り立てようとします。
その選択肢の一つが差し押さえです。
しかし、債務者がどこに資産を持っているのかについて目途が付けられないようであれば、差し押さえることもできません。

そこで、裁判所を通じて債務者に財産開示請求をすることができます。
つまり、債務者自身に裁判所命令で資産の在り処を自白させるための手続きです。

効果のほどは・・

そもそも裁判となるまでこじれた債務者相手に財産開示請求をしたところで、バカ正直に資産の在り処を自白するはずもないというべきかと思います

相応の追及はありますが、債務者が“ない!”と言い張れば、実務上、それで終わりです。

債務者も口座の在り処くらいは公表するでしょうが、これに従って裁判所が職権による調査をしてくれたとしても半年~1年ほど遡った取引内容についてのものとなりがちですので、実態に基づいた開示は見込めないケースが多いのも事実です。

債務者が開示する虚偽と真実

財産開示請求を検討するということは、法的措置を経て敗訴した債務者相手におこなうことがほとんどでしょう。
つまり、債務者はある程度、腹を決めているものです。
裁判自体も簡易裁判といったものでなければ長期の時間を要するものであり、その期間に財産を移転されている可能性だってあります。

いくら国家権力である裁判所から追及されたところで、腹を決めている債務者は真実と虚偽を使い分けながら対応してくることでしょう。
虚偽を連ねるのであれば、それは問題のある行為かもしれませんが、ノーコメントであれば黙秘権として裁判所側も過度な追求はできないものです。

債務者もバカではありません
それぞれの行動についてエビデンスが通るように、事前に受け答えをシュミレーションしているものです。
財産開示請求をしたところで、財産を隠されてしまったあとではなかなか太刀打ちできないことでしょう。

財産開示請求自体が意味のない制度である可能性

そもそも、開示請求をしなければならない相手が条件的に限定されるものです。
“あることはわかっているのに払わない相手”におこなうものです。
例えば、売上の入る法人相手には有効です。
所有不動産や口座開設先が把握できないまま、債権者からの支払いにも応じない状況であり、今日も営業継続している法人であれば、裁判所からの追及をかわしきれる可能性はとても低いものとなるでしょう。

つまり、一般個人を相手にするような場合では、財産自体がない場合も多く、ない相手に“ないです!”と宣言させるための場を設けたところで仕方のない話です
これまで重ねてきた督促のたびに聞かされてきた返答内容と同じものを費用をかけた財産開示請求で聞かされるのでは、債権者側からすればたまったものではありません。

このような矛盾は制度上の穴というべきかもしれません。
結局、良心に沿った内容供述を求める場に過ぎないので、いくところまでいった債権者と債務者のあいだでおこなわれる手続きとしてはどうしても弱さが露呈してしまうものです。
このような状況下、財産開示請求という制度自体がまだまだ問題を抱えているものといえます。

資産隠しは違法行為であったとしても

資産隠しは違法行為となっていますが、財産を持っている債務者は資産隠しをおこなっているものと考えるべきです
判決を受けて敗訴となれば、いつ差し押さえられるのかわからないのですから、それ以前に対応していると考えた方が自然だと思いませんか?

違法行為に手を染めた債務者であれば、開示請求されたところで真実は述べないことでしょう。
嘘を言うことはまずいことかもしれませんが、言わなければそれでいい、というのも債務者が支払いを逃れるための対処法のひとつであることを認識しておきましょう。
言わないだけでは、嘘にはなりません。

更に加えるならば、後にバレても言わなかった理由を問い詰められたところで、債務者は言い逃れするだけのことでしょうから、いくら債務者が悪かろうと債権者の思い通りにことは進んでいかないものです。

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