資産隠し? 詐害行為の立証は困難なもの

資産隠しは詐害行為であり強制執行妨害罪にも該当

手間とおカネをかけて勝訴判決を得た債権者にとって、その後の支払いに応じない債務者を相手に強制執行(差し押さえ)を検討するのは自然な流れです。
しかし、長い裁判期間や判決後に債務者が自身の財産をどこかへと隠してしまう可能性は大いにあるものです。
もちろん、強制執行は債権者に求められた行為に他なりませんので、債務者が資産隠しをおこなえば違法行為とされており、詐害行為や強制執行妨害罪に該当することとなります。

では、“資産を隠されている”と債権者が感じた場合にはどのような対応をすべきかというと、債務者の一連の行為が資産隠しであることを裁判所に訴えなければなりません。
しかし、債権者にとって債務者が詐害行為をおこなったことを立証することは一般的に非常に難しいといえます。
なぜなら、債務者が騙そうと考えていたという心情を立証しなければならず、債務者は当然に「騙すつもりなんてありませんでした」と主張するからです。

債務者が主張する内容は基本的に債権者が追及してくる事柄に対して返答するわけです。
具体的には、「この財産の処分が詐害行為だろ!」と追及されて、「こういう理由で使う必要があり、誰かを騙すためにやったものではないです」と返しながらやりあうわけです。
裁判所は両者の言い分を総合的に判断するため、私たちの日常生活にも普通に起こる場面と同じく、誰かが誰かを騙そうとしているということを証明する難しさは同じです。
債務者だからといって色眼鏡で見られることはありません。

債務者も資産隠しには根拠を主張する

債権者が、債務者のおこなった行為が違法な資産隠しであることを立証するのは困難なものです。
債務者は債権者以上に情報収集をしながら、もし問題となった場合には根拠を通せるかたちでの資産隠しを図るためです。

むしろ、おとなしくしている債務者のほうが少ないと思っておいたほうがいいかもしれません。
人間は誰もが守れるものは守ろうとします
つまり、資産も自分の身も守ろうとしてくるわけです。

では、詐害行為や強制執行妨害罪に抵触していた場合にはどうなるかといえば、相応の処罰を債務者は受けなければなりませんが、罰則規定が甘めなこともあり、初犯であれば過度な処罰とはならないことでしょう。
このような背景もあり、債務者にとって資産隠しはゼロサムゲームといった意味合いもありますので、債権者にとっては頭を悩ませることが多いのが実情です。

資産隠しを立証するためには入念な情報収集を

資産隠しをされた場合、債権者は「なんで、無くなっているの?」と感じます。
預貯金など流動資産はなかなか追いきれるものではありませんが、不動産であれば謄本を取ってみて、所有権移転がいつであり、現在の所有者が誰なのかを追うことができます。
資産隠しの立証は新規の訴訟と考えながら、入念な情報収集をして証拠集めをしていかなくてはなりません。

裁判で勝ったにも関わらず、このような事態となるのも理不尽に感じるところはありますが、裁判所は判決を出してくれるだけであり、白黒を明確にしてくれるのみです。
回収は自力でおこなわなければならず、差し押さえや強制執行は選択肢の一つであり、それを実行するためには裁判所で手続きをしなければならないだけのことです。

債権者と債務者のいたちごっこはマネートラブルが生じたときから回収実現までのあいだ、ずっと継続されていくものと割り切らざるを得ません。

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