不動産投資の利回り計算方法

不動産投資においては、必ず利回りを意識していかなければなりませんが、不動産投資は他の金融商品と異なり、不動産を購入する際や所有の継続、売却するときに不動産特有の様々な経費が発生してくるため、これらを計算に入れて利回りを把握しておかなければ、イメージしていた利回りと実際の収入のあいだに大きなギャップが生じることとなります。

まずは不動産投資における2つの利回りについて確認しておきましょう。

不動産投資における2つの利回り

不動産投資における利回りには2種類あり、一方は不動産価格に対する年間家賃収入の割合を単純に示したもの、他方は不動産購入時や保有時に生じる様々な諸経費を計算に入れたものとなっており、前者を表面利回り、後者を実質利回りといいます。

<計算式>

表面利回り(%)=年間家賃収入 ÷ 不動産価格 × 100

実質利回り(%)=(年間家賃収入 - 保有・維持にかかる諸経費) ÷ (不動産価格 + 購入時にかかる諸経費) ×100

上記のうち、保有・維持にかかる諸経費とは、固定資産税、都市計画税などが含まれ、購入時の諸経費には建物にかかる消費税、不動産仲介手数料などが含まれます。

例えば年間家賃収入750万円、不動産価格15,000万円、購入時の諸経費500万円、不動産保有時の諸経費が年間200万円の不動産に投資する場合、表面的な利回りと実質の利回りとでは以下のような違いが生じます。

表面利回り(%) 750万円÷15,000万円×100=5%
実質利回り(%) (750万円-200万円)÷(15,000万円+500万円)×100=3.5%

上記のよう、同じ不動産であっても表面利回りと実質利回りでは大きな差が生まれてきますので、不動産投資においては利回りをそのまま単純に捉えるのではなく、表面利回りなのか実質利回りなのか確認していく必要があります。

もちろん将来の予想図に近い指標は実質利回りですが、上でご紹介した計算式のように、経費をどれほど入れていくかによって計算結果が変わってきますので、いかに経費を正確なものとして捉えていくかが重要となってきます。

不動産購入時の経費

不動産購入時の経費としてまず挙げられるのが消費税です。

不動産の購入代金については、土地代に対して消費税はかからないものの、建物部分については消費税が加算されます。

今日においては取引価格の総額表示が義務付けられていますので、明示されている取引価格は消費税込となっているはずですが、念のため確認は怠らないようにしておきましょう。

次に、不動産業者へと支払う仲介手数料も忘れてはなりません。

不動産仲介会社より物件の紹介を受けた場合には仲介手数料を支払います。

仲介手数料は上限が定められています。

売買金額によって段階的に手数料率が異なってきますが、400万円以下の不動産売買は不動産投資においてはあり得ませんので、400万円を超える不動産を購入する場合の仲介手数料の上限となる“売買代金の3.15%+60,000+60,000円×消費税率”として計算できます。

また、印紙税も馬鹿になりません。

不動産の売買契約書には契約書1通につき、そこに記載された金額に応じた印紙税が課せられます。

平成30年5月現在、5,000万円~1億円以下で60,000円、1億円~5億円以下で100,000円といったように不動産価格が高くなれば高くなるほど高額となっていきます。

このため、取引によっては契約書を1通のみ作成するものとし、買主が原本を、売主がコピーを保有するという方法により印紙税を節約することもあります。

上記以外には、所有権を登記する場合の登録免許税司法書士手数料が挙げられます。

購入した不動産の権利を保全するための手続きなので必ず済ませておかなければならないものであり、所有権を登記することによって購入不動産の所有権を公に主張することが可能となります。

登記する際には、登録免許税という税金のほか、司法書士に依頼する場合に支払う手数料が生じてきます。

また、不動産取得税も取得時に支払わなければならない税金としてご存知の方も多いことでしょう。

不動産保有時の経費

不動産は保有しているだけでコストがかかります。

その不動産は利用しているかどうか、収益を生んでいるかどうかは問わず、すべての不動産に固定資産税や都市計画税という税金が毎年課税されるのが原則となっています。

これらは固定資産税評価額をもとに役所から通知が来ますので、その内容に沿って支払っていくこととなります。

税率は不動産の所在する各市町村で異なる場合がありますが、固定資産税と都市計画税を足して固定資産税評価額の2%ほどとみておけばいいでしょう。

固定資産税や都市計画税以上に、不動産投資ならではの留意点として挙げられるのが管理費です。

不動産の管理は建物管理(維持管理)と入居者(テナント)管理の2つがあります。

建物管理とは、建物を維持していくために必要となる管理を指し、エントランスや廊下、階段、ゴミ置き場などの共用部分の清掃やエレベータの保守点検などが挙げられます。

これら以外にも、防犯設備の維持管理や警備会社への委託費用など、入居率を向上させるために施すべき防犯への取り組みも建物管理の一部として重要性を増しています。

優良な入居者(テナント)を確保するためには、ある程度のコストをかけても良質な管理が必要となってきます。

また、建物が火災などで焼失してしまった場合には収入を何も生み出さず、ローンだけが残ってしまうこととなりますので、万が一の場合に備えて保険へと加入しておかなければなりません。

このため、保険料支払いも管理コストとして負担しなければならないものと考えられます。

入居者(テナント)管理は、家賃の集金や滞納者への督促、入退去に伴う諸手続きなどを指しますが、これらは一括して不動産管理会社へ任せている人のほうが多数となっています。

直接の金銭的負担はないかもしれませんが、それ以上に心的ストレスを覚えやすい業務ばかりとなってきますので、任せてしまうほうが楽であるといえるためです。

最後に、不動産所得より支払わなければならなくなる所得税を忘れるわけにはいきません。

不動産所得の税率は所得金額に応じて税率が高くなっていく超過累進税率となっており、総合課税の対象となっています。

このため、他に給与所得(給料)などがあった場合は、それも合算して最終的な税率、税金が算出されることとなるので、副業として不動産投資をおこなう人にとってはかなり不利な税制と言わざるを得ないのも実情です。

不動産投資を法人としておこなっている人も多くいますが、なぜ法人として運営しているかといえば、このような不利な税制より被るデメリットを最小のものとするために他なりません。

コストを再認識し、改めて利回りの計算を

これまでご紹介してきたように不動産投資は不動産の購入時、保有・維持している期間中においてさまざまなコストが発生します。

簡単な計算に手算出される表面利回りのみを眺めるのではなく、シビアに各種経費を模索し、それらを計算へと取り入れて、より正確な実質利回りを把握するように心がけていきましょう。

実際の利回りが大きく下回るとなれば、それを事後にカバーリングするのは非常に困難です。これらのような事態を避けるためにも、当初より不動産投資の専門家へ相談してみるのがおススメです。